そもそも「DXとは何か」

『DX』というワードは、すでに一般的に認知された言葉といっても違和感はないと思います。しかし、「DXとは何か」という問いに明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。
※『DX』は、デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)の略

今回は、DXがなぜ注目されたという背景を踏まえ、『DXとは何か』について投稿したいと思います。

1.DXが注目された理由

①DXレポート

日本でDXが注目されるようになったのは、経済産業省が発表した「DXレポート」がきっかけと言われています。
DXレポートが発表した背景には、政府の危機感があります。

その1つは、世界的に見た、日本企業デジタル化の遅れです。このままでは将来の市場変化に対応できずデジタル競争の敗者になってしまうのではないかという点です。

2つ目に、レガシーシステムの老朽化があります。日本のシステム開発は、個別個社での「カスタマイズ開発」が多く、できあがったシステムは企業によって異なり、システム保守や運用ノウハウは他の企業では使えない知識になりがちでした。
特にセキュリティが問題とされていますが、開発当初の社員が定年でいなくなり、ブラックボックス化するというリスクを抱えています。

②産業支援
 
DXが注目される2つ目の理由は、産業支援としての側面です。経済産業省は、東京証券取引所と共同で戦略的なIT活用に取り組む企業を「攻めのIT経営銘柄」として選定し、公表しています。
 
そのなかでも日本企業のDXを加速していく観点から「DX銘柄」や「DXグランプリ」、「DX注目企業」を選定し、株式市場の中でも注目を集める銘柄に育てようとしています。

経済産業省が「攻めのIT銘柄」を使って特定産業への支援を行うのは「ITに投資することは良いことだ」、「株式市場でも評価される」というお墨付きを与え、日本企業へのIT投資への評価を引き上げる狙いがあります。

③働き方改革に次ぐ施策

「働き方改革」に次ぐ労働力減少対策も、DXの役割として挙げられます。「働き方改革」は、少子高齢化で減少する労働力を補う取り組みとして、労働環境を改善して働ける人を増やし、生産性の向上を狙っています。
「働き方改革」が、企業の意識、制度上の改善施策だとすると、DXはその実現のための施策といえるでしょう。

2.DXの定義

DXとは、ツールの導入を行うといった局所的なIT導入のことではなく、デジタル技術を採用した根本的なビジネスモデルの変換を指します。

より簡潔に表現すると、「売上に繋がる会社の強みをきちんと捉えて定義化し、それをデジタル化すること」です。

DX推進を、多くの企業が取り組むようになりましたが、うまくいかない理由として以下が挙げられます。

①そもそも「DXとは何か」が理解できていない
 DXのゴールイメージを持たないままPJTを進めると、本質からずれた取り組みに時間・予算を費やしてしまったり、効果的なチームづくりができない場合があります。

②プロジェクトの各段階で表出する3つの「壁」を越えられないこと

 ・何から手をつけていいのか分からない
 ・なかなか実現フェーズに進まない
 ・リソースが足りない

3.DXに至る段階

DXは、以下の段階を踏むことによって、進めていきます。

①デジタイゼーション(Digitization)
-アナログデータのデジタル化

例えば、「紙の稟議書をペーパーレス化した」や「Word書類をファイルのままメール回覧」などは、デジタイゼーションに当たります。

②デジタライゼーション(Digitalization)
-ビジネスプロセスのデジタル化/ 手順の効率化

①で手に入れたデータで、いかに業務プロセスやサービスを効率化するかが、ここでの段階になります。
例えば、文書をメールで一斉送信し、チェックして返信していた業務を「クラウドへアップし、クラウド上でチェックマークを入れる」とした場合、デジタライゼーションに当たります。

③デジタルトランスフォーメーション(DX)
-新しい価値の創出

例えば、「自社で行った回覧文書のクラウド承認システムを構築したところ、とても使い勝手がよかったので、新規事業として外部に提供した。」はDXに当たります。

②によって、社内リソースを最適化したことが、魅力的なサービスを生み出す原動力になったことが分かります。

4.DXへの取組み方

まずは、「デジタルファースト体質」づくりに向けた準備をするといいでしょう。

①ペーパーレス化に取り組む

②デジタルファーストの土壌を培う(課題が可視化され、デジタルファーストの土壌が培われる)

③ユーザの使いやすさを重視する。
-ユーザーが使ってくれなければ、データが集まりません。ユーザの使いやすさに着目してシステム改善策を実施するのがポイントです。

また、デジタライゼーションまでは、早い段階で済ませておくべきでしょう。今後、テレワークが定着したときに、仕事が回らなくなることを回避することができます。

次に、デジタライゼーションによって「業務量を削減」し、新しい価値に取り組むリソース(人・時間等)を捻出します。

進め方としては、「アーリースモールサクセス」が良いとされています。小さい早い成功を目指すIT化プロジェクトです。
リーンスタートアップの「高速PDCA」も有効です。

5.まとめ

DXで一番重要なことは、「DXで何を達成するか」を共有認識として持つことです。そのためには、経営戦略としてトップの意思・意欲がとても大切になります。経営陣を巻き込みながら進めていくべきでしょう。


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