カーボンニュートラルの「スコープ」とは

2021年、日本は「2050年カーボンニュートラル」に向け、2030年度において温室効果ガスを2013年度比から46%削減することを目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦することを発表しています。

また同年に企業がカーボンニュートラルへの取り組みを好機と捉え前向きに挑戦しやすい環境を作るために、予算や税制、金融、規制改革などを総動員する施策「グリーン成長戦略」も発表しました。

このように、昨今カーボンニュートラル実現に向けて実践的な動きが目立っています。

日本では、2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードでTCFDと同等の枠組みへの対応が求められています。

なおTCFDとは、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の略称です。
気候変動が金融市場に重大な影響をもたらすとの認識が主要国の間で広がったことを背景に、各国の中央銀行・金融当局や国際機関が参加する金融安定理事会(FSB)が2015年に設立しました。投資家などに投融資の対象企業の財務が気候変動から受ける影響の考慮を求めたり、企業に情報開示を促したりする機能を果たしています。

具体的には「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標・目標」の4項目についての開示を推奨しています。
どのような経営体制でリスクを分析し実際の経営に反映しているかや、短期や長期などの期間ごとに分けた経営への影響を考えているかなどが具体的な内容となります。

2021年2月時点で世界の1771の企業や金融機関がTCFDの提言に賛同しており、日本は341機関で最多でした。
各国政府が提言に基づく開示の義務化を検討することも後押しとなり、機関数は増加が続いています。
日本では2019年に企業や投資家が情報開示のあり方を議論する「TCFDコンソーシアム」を立ち上げています。

また、東京証券取引所のプライム市場に上場する企業は、2022年4月以降の株主総会後、改訂コードに対応した「コーポレートガバナンス報告書」を提出する必要があります。

このように、カーボンニュートラルへの関心が高まっている中、具体的に各企業はどのような取組を行っていく必要があるのでしょうか。

企業が脱炭素への取り組みを促進する際重要になるのが、スコープという視点です。
スコープとは、温室効果ガスの排出量を測定する範囲のことを指し、スコープ1、スコープ2、スコープ3に分類されます。

スコープ1は、自社での燃料の使用や、工業プロセスによる直接的な排出のことを指します。
具体的には、自社で燃焼した都市ガス、LPガス、A重油、軽油、灯油、ガソリンなどが排出源となります。また、工場などを所有されている企業では燃料以外の排出源からの温室効果ガスも含まれます(メタン等)。

スコープ2は、自社が購入した電気・熱等のエネルギーの使用に伴う間接的な排出のことを指します。
具体的には、自社が購入して使用した電気、熱、冷水、蒸気などが排出源となります。

スコープ3は、スコープ1,2以外の、原料調達・物流・販売などバリューチェーンで発生する自社の事業活動に関連した他社の排出を指します。スコープ3の中には、さらにカテゴリと呼ばれる分類があり、カテゴリは1〜15まで存在します。

また、サプライチェーン排出量は、「上流」、「自社」、「下流」に分類することができます。

[出所]Scope3とは?全15カテゴリの内容やCO2排出量の算定方法を紹介! – Green&Circular 脱炭素ソリューション|三井物産 (mitsui.com)

原材料の調達やそれに伴う輸送・配送などを「上流」、製造など自社で行われる事業活動を「自社」、製品の出荷以降、製品の使用や廃棄に至るまでを「下流」といい、スコープ3は「自社」を除く「上流」と「下流」が該当し、さらに15のカテゴリに分類されています。

スコープ3は、ステイクホルダーを巻き込んだ取り組みが必要な(自社だけの取組ではない)ために、一番難しい課題と言われています。各企業の事例等を参考にしながら、解決策を導く必要がありそうです。


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