人材開発・組織開発について①

 立教大学経営学部教授である中原淳氏が、『人材開発・組織開発コンサルティング』という書籍を出版されました。人事領域の仕事をしていると様々な研究者の著書を拝読しますが、中原教授は人事領域研究者の大家の一人であると思っています。

 今回出版された書籍は、人材開発・組織開発に携わるすべての人々のために執筆された「日本初の教科書」と詠われています。早速、読み進めているわけですが、胸に刺さったポイントを整理してみたいと思います。

■人材開発・組織開発は「間接的」に成果に貢献する

 人材開発・組織開発は、企業の成果(利益)に直接的な効果は持ちません。しかし。現場の管理職と従業員の行動変容を導き、それらが「戦略」と同期することを通じて「間接的」に利益に貢献することができるのです。

 人材開発・組織開発は、現場の管理職と従業員の「行動変容」を導く手段として必要不可欠です。そして、現場の「行動変容」が「戦略」と同期して、厳しい「市場」を耐え抜き、成果(利益)に貢献するのです。

[出所]「人材開発・組織開発コンサルティング」を基に著者作成

ポイントとしては、まず、「よい戦略」があるということが前提になるとは思いますが、その戦略に現場の行動変容が伴うことで、はじめて利益に結びついていくという点が挙げられます。

■人事施策の内的整合性

 「人材開発・組織開発」と「人事施策」との関係において、大切なのは『人事施策の内的整合性』です。人事施策の内的整合性とは、「会社の中にある、たくさんの人事施策がいかに整合的であるか、一貫したものになっているか」ということになります。どんなに素晴らしい人材開発や組織開発の施策を取り入れたとしても、その周囲の採用や評価制度などの人事施策は、それと一環したものになっていなければ、その人事施策の配下で、いくらやっても、その効果を高めることはできません。

 たとえば、採用と人材育成の組み合わせであれば、「どういう人材を採用するか」と「そうした人材を、どのように育成するか」は本来セットで考えられるべきで、採用のみ、育成のみを、個別に取り出して考えることに妥当性はありません。

 ①すべての人事施策は「経営戦略」にもとづいて行われるものであり、経営・現場にインパクトをもたらさなければ意味がありません。また、②すべての人事施策は「内的整合性」を高めるべく設計されなければなりません。

 経営戦略との「紐づけ」、人事施策同士の「紐づけ」があったときのみ、人事施策同士にシナジーが生まれ、確かな経営・現場へのインパクトが約束できるのです。

 クリックらによると、人的資本は、企業業績に直接影響を与えるというよりも、行動成果を上げることを通じて、間接的に、企業業績に影響を与えるというメカニズムをもっているという点を明らかにしています。

 また、どのような人的資本投資を行ったときに企業業績につながるかというと、一般的な学習内容よりも、その企業に特化したような研修内容、スキル研修などを行ったときに企業業績につながると述べています。

 つり、人材に投資するときには、確実に「行動成果」に繋げるのが重要ということです。


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