問題解決のプロセス
人が「問題」を認識するとき、何か理想としている姿、将来進もうとしている方向性があって、それに対して現在の状況が追い付いていないことを意識しているものです。
つまり、問題とは「あるべき姿と現状のギャップである」と捉えることができます。「あるべき姿」とは、企業や組織、個人が掲げる将来の目標に向かって進んでいる場合に、そこに到達するために現在達成しておくべきレベルを指します。
言い換えると「将来のあるべき姿」をどのように決めるかによって、問題の大きさは異なります。
問題を正確に把握するためには、以下3点のいずれか、もしくは、それらの組み合わせをしっかり認識しているかという点がポイントになります。
①「あるべき姿」が明確になっているか
②現状の姿がきちんと把握されているか
③あるべき姿と現状のギャップである問題の大きさが特定できているか
問題といっても、「売上低下」など測定が可能で問題自体が顕在化しているものと、「社員の間に経営陣に対する不信感が募っている」など、発生しているか捉えにくい問題もあります。
前者を「顕在化している問題」、そうでない問題を「顕在化していない問題」ということができます。
顕在化していない問題は、将来的に現象となって現れ、顕在化している問題を引き起こす原因となる場合が多いです。
また、問題は「構造化された問題」と「構造化されていない問題」に分けることもできます。
組織において、おおむね前者は日常業務のオペレーションに関する問題、後者は戦略に関する問題と言えます。
構造化されていない問題の特徴は、そもそもの「あるべき姿」が不明瞭で、何が問題なのかが漠然としか特定できない点にあります。
こうした問題を解決するには、過去の経験や実績を活かすことができない場合が多く、問題解決策を導くアプローチや前提となる仮説を新たに見出す必要があります。
問題を解決に導くためには、過去の経験や事例だけに頼ることなく、客観的に現状分析や原因分析を行い網羅的に解決策を導いていく論理的思考力を身につけておくことが有効です。
「課題」と「問題」のちがい
「問題」は、前述のように「あるべき姿と現状とのギャップ」と定義されるのに対して、「課題」とは「組織や個人が取り組むべき事柄」のことです。
例えば、「シェアが目標どおりに伸びていない」という問題に対して「いかに他社からシェアを奪取するか」は課題ということになります。
ことばの定義自体にあまり神経質になる必要はありませんが、問題解決を1人で行うことは稀であることを考えると、なるべく意識して使い分けることで、協力者や説得する相手との認識のちがいを埋めておく方が円滑に事案を進められるでしょう。
問題解決プロセス
論理的思考を用いて問題解決を図るには以下図表のようなプロセスを経ることが一般的です。まず、現状分析を行って問題を特定します。その際、あるべき姿を明確に設定することが重要です。
次に、問題が発生する原因となっている要因を特定します。ある問題の原因は、顕在化していない別の問題である場合も多いので、しっかりと問題の真因を掴むことが重要になっています。
また、組織上の問題解決である場合、複数の問題や原因が交錯していることが多いので、全体像を捉えるために問題や原因を構造化し、チャートなどにまとめていくと次に繋がりやすくなります。
そして、必要に応じて解決すべき問題を絞り込み、課題を設定します。
さらに、問題の原因や問題相互の関係性に留意しながら、解決策を導出します。
実際の問題解決プロセスでは、企業の経営資源や解決にかけられる時間が限られているために、解決策に優先順位をつける必要がある場合が多いです。
こうして、優先順位やタイミングを計画化した解決プランを策定し、実行に移していきます。