問題解決の具体的な手法
前回、「問題解決のプロセス」について投稿しましたが、今回は、問題解決を図る個々のプロセスについて、具体的な手法を含めた5つの項目について説明していきたいと思います。
前回の記事はコチラをご覧ください↓
1.現状分析
問題解決の第1のプロセスは現状分析です。現状分析の段階において、アイデアや意見を出して整理していくことが主流です。よく使われる手法としては、以下があります。
①ブレイン・ストーミング
与えられたテーマについて、会議に参加したメンバーが思いつくままに自分の考えを出すやり方で、問題の特定や原因の抽出、問題解決のためのアイデア出しなど様々な場面で用いられます。 既成概念や偏見に囚われることなく、他人の考えをその場で批判せずに、他人の発言からの連想や触発に乗じた発言をしてもよく、発言内容の『質より量』を重視するなどのルールがあります。
②KJ法
問題解決に関わるメンバーが集まり、ブレインストーミングなどの方法で問題やアイデアを抽出します。ここでは、1つひとつの項目を小さな用紙に書き出していくことが多いです。
次に、たくさん出てきた項目を何かしらの基準でグルーピングします。そしてグループごとにタイトルをつけます。さらに、グループごとの階層化を行い、グループ間の「因果関係」や「類似/対比関係」、「時間的な前後関係」などを明らかにしながらまとめていきます。そして、最後に、図や文章のかたちで取り纏めていきます。
③フレームワークの活用
現状分析の段階では、定型的な戦略フレームワークが活きてくる場面が多いです。例えば、外部環境分析には「PEST分析」、「3C分析」、「ファイブ・フォース分析」などのフレームワークを用いることが多いです。
内部環境分析には、「ヒト・モノ・カネ・情報」や「バリュー・チェーン分析」などを用います。こうすることで、問題や原因を「モレなく、ダブリなく」MECEに抽出することができます。
さらに、SWOT分析を行えば、収集した情報から自社の強みや弱み、外部環境の機会や脅威をうまく整理することができます。
このような分析を行う一方で、「将来の方向性」や「現状のあるべき姿」を定量面・定性面の両面で設定します。このように現状分析とあるべき姿を比較することで、問題の所在が浮かび上がってきます。
2.原因分析(真因の把握)
あるべき姿の特定と現状分析から「問題」を抽出した後に重要なのは、その問題を深堀して真因を特定していくプロセスです。
例えば、「売り上げが伸びない」「シェアが落ちている」などの問題に対して、「元どおりに回復するように頑張る」という解決策を設定するだけは、なんら対策を講じたことになりません。営業活動が組織的に行われていないのか、他社に比べて価格設定が高いのか、それとも製品やサービス自体が陳腐化しているのか、その原因を考えなければ解決策は出てきません。
この「問題」に対して「なぜそのような問題が発生したのか」という「why?」の問いかけを常に念頭に置く必要があります。
これは「なぜなぜ分析」とも言われる手法です。問題に対して、なぜを複数回繰り返すことで、真因を捉えていきます。
その繰り返しを「whyチャート」とまとめ、問題や原因を構造化してとらえることができるようになります。
また、ある問題は他の問題から引き起こされている場合も多く、いくつかの問題を引き起こす核となっている原因(真因)を探ることも問題解決にとって重要です。真因が特定できれば、それを取り除いたり、対策を講じたりすることで多くの問題が同時に解決することになります。

3.課題の設定
経営においては、多様で多数の問題が抽出されることも多く、限られた経営資源の範囲では、すべての問題を同時に解決することができない場合がほとんどです。そこで、問題が経営や業務に与える影響の大きさや取組みやすさなどを考慮して、取り組むべき課題の優先順位をつけることが重要になります。
優先順位をつけて取り組む課題を選び出す手法には、以下のようなものがあります。
①構造化チャート
すべての問題や原因を構造化したチャートを作成し、多くの問題の「真因」となっている問題の対策から優先して講じていく。
②ファイナンス技法
NPV法やIRR法、ROIなど、ファイナンス技法を応用して課題が生み出す経済的価値(または課題に取り組まなかった場合の機会損失費用)を定量的に算出し、取り組むべき優先順位を判断します。
③リスクマネジメントの考え方の応用
リスクマネジメントでは、発生する可能性のある多様な問題の中から取り組むべき重点課題を決めるのに、「経済的な利得(損失)」と「発生する確率(リスク)」という2つの基準を用いることがあります。
同じように、判断基準となる要因を2つの軸としたマトリックスを作成して、重要課題を抽出することができます。
4.解決策の検討と実行
問題の原因が明らかになり、取り組むべき課題を設定したら、いよいよ解決策を考えることになります。この段階で重要なのは
①対策としてなるべく多くの代替案を出し、その中から最適の案を実行に移すこと
②単に解決案を提示するだけでなく、解決策の実行プランをきちんと描くこと
になります。
現実に最も難しいのは、解決策を効果が上がるように実行に移すことです。そのためには
①推進のための組織体制
②時間軸を明確にした実行プランの策定
③進捗管理と方向修正
という3つの要素を実行計画に盛り込むことが重要です。
問題解決を計画的に実行していくためには、ガントチャートを活用するなどして管理していくといいでしょう。