フィードバックの重要性

  久しぶりの投稿になりますが、今回は、新人事制度(等級・評価・報酬)へ移行し、評価制度も年功序列型から役割等級制度へ変更になった企業における「フィードバック」におけるケースについて記したいと思います。

  対象企業は、若手・中堅・ベテラン・経営層に対して入念にヒアリングを重ねて課題を抽出した上、10年後のめざす姿を推察(その会社には、当時きちんとしたビジョンがなかったため、「推察」という名目で人事サイドが作成ししました)し、人事ポリシーを策定することで、判断の基軸にしたりと、まさに”Do Our Best”を尽くして策定した人事制度を導入しています。

 そして、昇給・昇格を決める年度に1度の初めての総合評価を実施した中で、課題となったのが、評価者から被評価者に対する「フィードバック」です。

 フィードバックを受けた被評価者から複数件の申告があり、共通しているのは「上司からのフィードバックに納得がいかない」という点でした。

 話を聞いていると、評価者が人事制度及び評価調整運用を正しく理解していないという点と、評価調整での調整事項を誤解したままそのままフィードバックで被評価者に伝えていることが分かりました。

 評価制度を正しく理解していない点については、初めての評価調整運用だったこともあり今後の浸透に向けて取り組みが必要だと思いますが、そもそも「被評価者に何の目的で・何を・どのように伝えるか」という視点がないことがとても残念でなりませんでした。

 評価のフィードバックのコア(芯)は、被評価者に対して、その評価に至った理由を伝えて、至らなかった点については、その事実と今後どのような行動・成果を期待しているかをきちんと伝えることが重要と説明してきていました。それが、全く理解されていないのでは?という危惧を覚えたのです。さらに言うと、フィードバックを評価査定の結果を伝える場所で、評価が決まったプロセスをそのまま伝えればよい(より悪いのはそのプロセス自体誤解・誤っている)と誤認しているという点です。

 今回のケースでは、評価者・被評価者側双方と人事サイドで話し合うことで、誤解を解きましたが、評価に対する不満が解消されたわけではありませんでした。

 なぜこのようなケースが発生してしまったのかを類推してみると

①評価者が、部下の昇給・昇格に対する説明責任について、きちんと認識していなかった。
②評価に関する責任は、現場ではなく全て人事側にあると誤認している。
③新人事制度及び新評価運用について、きちんと理解していない。

 制度として実質自動的に昇給・昇格していく年功序列型制度と異なり、役割等級制度は、評価者が、被評価者に対して、その等級に見合った役割を果たしているかという評価をきちんとする必要があります。その評価者の「役割」をきちんと果たさないと、被評価者の評価に大きな影響が出てしますということになります。

 今回導入した役割等級制度自体は、よくできた制度だと思っていますが、評価者がその仕組みと求められる責任をしっかり理解する運用リテラシーが向上しないと、逆効果となってしまいます。

 評価者や社員全体のリテラシーを上げることは、「言うが易し」で簡単なことではありません。人事制度責任者や担当者を中心に、人事制度を建設的に運用していこうという気運を醸成していくかという点を、地道に取り組んでいくことが必要だと思います。

 


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