1人の上司が有効にフォロー・育成ができる部下の人数について

1人の上司が有効にフォロー・育成ができる部下の人数については、統制範囲の原則(スパンオブコントロール)と言われ、組織構造の設計原理の1つになっています。

組織構造とは、階層および職能における位置関係であり、事業部や部門などの下部組織が担うべき機能、人的資源の配分と権限、指揮命令系統を定めたものです。

組織構造の設計原理は、以下の5点です。

1.専門家の原則

2.権限責任一致の原則

3.統制範囲の原則(スパンオブコントロール)

4.命令統一性の原則

5.例外(権限移譲)の原則

VUCAと言われる不確実性の高い大きな環境変化の中で、上記原則が実務上そのまま当てはまるとは限りませんが、今回は、「3.統制範囲の原則(スパンオブコントロール)」について記載したいと思います。

組織をデザインする上で、1人の管理者が管理できる最適な部下の数を考慮する必要があります。

1人の管理者が管理可能な部下の数には限度があるという、「スパン・オブ・コントロール」という考え方が経営学にはあります。
最も生産性の高い管理人数の最適値は、Amazon.comのジェフ・ベゾス氏が、最適なチームの規模は、食事がピザ2枚で足りる人数であるという「2枚のピザ理論」(人数でいえば、5~8名程度)を提唱していますので、概ねその程度が適正数と考えてよさそうです。

これらの人数は、一人の管理職が部下を適切にまとめ目標の達成に向けて指揮していけるというだけでなく、部下の目標遂行状況の評価や育成・指導を行っていく上での適正人数でもあります。

なお、営業チームや工場の製造要員のように、シングルタスクでメンバーの業務内容が同じである場合には比較的多めの人数でOKですが、逆にスタッフ部門等で1人ひとりの専門性や業務内容が異なる場合にはマネージャーの負担がより大きくなり、管理できる適正人数はより少なめになります。

また、管理者の統制範囲を拡大するためには以下のような工夫が必要になると言われています。

①管理者の例外処理能力を高める
②下位メンバーの知識や熟練を高め、例外事項への適切な判断力をもたせる
③作業の標準化を進める
④スタッフ部門の創設など、管理者の例外処理能力を補強する構造を構築する。

[出所]
グロービス経営大学院[2015]『変革型人事入門』(労務行政)
mitsukari[2020]『スパン・オブ・コントロールとは』(ミツカリ)
スピードテキスト_企業経営理論[2017](TAC出版)


クリックありがとうございます。
-------------------------------------
にほんブログ村 経営ブログへ

にほんブログ村 士業ブログへ



-------------------------------------