マーケティング・ミックス(4P)について
マーケティング戦略は、顧客価値の創造と顧客関係性の構築を目的として、企業にとっての収益性を確保しながら市場に対してどのようにアプローチしていくかについての計画化・実行のプロセスです。
そして、全社戦略や事業戦略の下位概念として位置づけられ、生産戦略や研究開発戦略、財務戦略など、他の機能別戦略との整合性を保つことが求められます。
マーケティング戦略は、「誰に対して」「どのような価値を」「どうやって提供するか」を意味しますが、「誰に対して」を決定するプロセスの典型的なモデルが、STPモデルです。
そして、ターゲット市場に対して「どのような価値を」「どうやって提供するか」についての戦術的なアプローチの組み合わせが『マーケティング・ミックス』です。
一般的な『マーケティング・ミックス』は、製品(Product)、価格(Price)、チャネル(Place)、プロモーション(Promotion)から構成され、『4P』と呼ばれることもあります。
■流通業のマーケティング・ミックス
4Pは、主にメーカーのマーケティングにおける考え方でした。そのまま小売業や卸売業、サービス業に当てはめるのは
無理がある場合があるので、以下整理していきたいと思います。
①小売業のマーケティング・ミックス
メーカーと比べた場合に、小売業者の特徴は、「店舗」を持つという点にあります。ECや通信販売であったとしても、販売サイトやカタログは店舗と同じ機能を果たします。
実際にマーケティング・ミックス要素が何であるかは、取り扱う商品や業態などによって異なりますが、一般的には、以下図表のような要素が考えられます。
・マーチャンダイジング
マーチャンダイジングは、以下を実施するための商品戦略であり、単に品揃えや仕入管理という意味ではなく、価格戦略までも含めて顧客満足を向上させることを目的とした、商品戦略に関する全ての要件を網羅する考え方です。
・適正な商品を
・適正な時期に
・適正な場所で
・適正な量を
・適正な価格で仕入れて販売する
・立地・店舗
「小売業は立地業である」といわれるように、顧客に足を運んでもらわなければならない小売業者にとっては、『立地条件』や『店舗施設』は非常に重要なマーケティング要素です。
インターネット販売の場合はには、立地・店舗の代わりにウェブサイトを、通信販売業者の場合にはカタログをマーケティング・ミックスの一要素と考えられるといいでしょう。
店舗については、『ストア・コンセプト』を明確に打ち出し、店の外装や店舗レイアウト、陳列、品揃えなどの戦術に一貫性を持たせることが必要です。『ストア・コンセプト』は、誰に・何を・どのように 提供するかを明示するもので
小売業者にとっての「事業ドメイン」と言えます。
・サービス
・メンテナンスや配送などの付随サービス
・接客も含まれる
・プロモーション
・インストア・プロモーション(ISP)
②卸売業のマーケティング・ミックス
・マーチャンダイジング
・商品を幅広く取り扱うか 商品を絞るか
・ロジスティクス
流通経路の中で、卸売業者の果たす重要な機能の1つが、主に物流にかかわるロジスティクスです。
ロジスティクスへの関与度が卸売業者の業態を決定づけることがあります。
Lサードパーティロジスティクス(3PL)
マーチャンダイジングやリテールサポートなど、他のマーケティング機能をやめて、物流機能に特化した業態
Lキャッシュアンドキャリー(C&C)
ロジスティクス機能をやめてマーチャンダイジングに特化する現金卸問屋
Lブローカー
商品の所有権を持たずに取引の仲介役だけを果たす
・情報化
卸売業者は、メーカーと小売業者の中間に位置することから、メーカーからみれば「市場動向」や「消費者選好の変化」を知る重要な情報源であり、小売業者からみれば「商品の技術的な特性」や「他店での売れ行き・評判」などを知る重要な情報源である。こうした位置づけを利用して付加価値をつける戦略です。
・リテールサポート
メーカーや卸売業者が主体となって小売業者を支援する活動の総称です。例えば「POP材料提供」や「プラノグラム(棚割計画)の指導」など、現場レベルの支援だけでなく、小売店の従業員教育や経営そのもののアドバイスなど、リテールサポートのメニューは広範囲に渡っています。
③サービス業のマーケティング・ミックス
サービスには、形のある物財とは異なる無形性という性質と、そこから派生したいくつかの特性があります。
・無形性
・異質性
・生産と消費の不可分性
・消滅性(非貯蔵性)
・不可逆性
・需要の変動性
・労働集約性
上記のような特徴を持つサービス業の多くでは、顧客に直接サービスを提供して価値を生み出しているのは「従業員(接客要員)」です。そこで、サービス業のマーケティング戦略を計画・実行するにあたっては、以下に示した3つの次元があることを理解しておく必要があります。
・エクスターナルマーケティング
・インターナルマーケティング
・インタラクティブマーケティング