グーグルから読み解くリーダーシップ①

 「WORK RULES!」は、グーグル人事担当副社長のラズロ・ボックによって書かれていますが、グーグルの考え方を通して、マネージャーやリーダーとして、どのように考えて、リーダーシップやメンバーと向き合えばいいのかという指針になる本です。今回は、「WORK RULES!」を通して、マネジャーとしての考え方を紐解いていきたいと思います。

 マネージャーは、時として「本当にこれでいいのか」と不安になりながらも、組織の舵とりやメンバーに方向性を伝えたりしていることも多いかと思います。自分も1組織のマネージャーをさせて頂いておりますが、この本の中にはマネージャーとして共感する点が多く、「間違ってなかったんだ!」と自分も背中を押してくれるような、そんな内容がちりばめられていました。

 今回は、その中でもお伝えしたい箇所をサマリーにしてまとめたいと思います。

■文化が戦略を食う

 グーグルでは、「ミッション」、「透明性」、「発言権」をとても大切にする組織文化です。そして、その組織文化は、時には企業戦略の方向性ですら修正させる力を持っています。企業の組織文化が、どれほど重要かということが分かると思います。

また、「自分がしてもらいたいと思うことを、他人にしてあげなさい」という、仏教の教えにも近いような考え方(利他の心)を浸透させています。自分も企業の1マネージャーとして、勤務させて頂いておりますが、心に残ったのは以下の一節です。

社員に与える責任、自由、権力の程度を、安心して与えられるよりやや大きくしようあなたが不安を感じていないとすれば、十分に与えていないということだ

 マネージャーとして、メンバーがどのように行動しているかなど不安を感じがちですが、メンバーに大きな裁量を与えて、自分が不安に感じるくらいが適切であるというグーグルの考え方は、非常に勇気を与えてもらえます。

■採用のために

・自分より優秀な人だけを雇う

 こちらも前述と近い考え方ですが、メンバーを迎え入れる際、自分が統制を取りやすい人の方がいいのではないか?と考えてしまう時がありますが、自分より「優秀」な人だけを入れた方が、組織としても成長に繋がり、マネジャーとしても、日々成長できる環境になるという考え方です。

加えて、以下も重要な点です。メンバとして一番重要なのは「謙虚さと誠実さ」が根底にあることが前提になってくるという点です。この点が土台としてあれば、様々な切磋琢磨があったとしても、「良い方向」に進むと思います。

・最も重要なのは謙虚さと誠実さである

また、グーグルでは、不採用になる一番の理由は「(組織)文化」という点です。どんなに優秀な人であっても組織文化に合わない人は不採用になるということです。

当然、組織ではベクトルを合わせて目標達成に向けて切磋琢磨することが必要ですので、その行動規範となる組織文化に合っていないと、双方不幸になりますので、採用を見送るのが最善ということなのかもしれませんし、そうする必要があると思います。

■社員への権限委譲のために

 日本の企業、特にシニア層において、「恐怖政治」によるマネジメントを体験してきている人も多いかと思います。

 「恐怖政治」マネジメントは、「既存業務の遂行」や「業務の深掘り」などにはポジティブに働くと言われていますが、既存の枠組みを超えた発想が出ずらくなり、イノベーションが求められるVUCA時代にはデメリットも多いです(言われたことをしっかりやっていればよいという思考になるため)。

 「恐怖政治」によってメンバーを服従させるマネジメントではなく、メンバーが「(建設的な)発言は褒められるし賞賛される」と思うような雰囲気・風土づくりをしていくべきだと思います。

・大規模な権限移譲への第一歩は、社員が安心して意見を言えるようにすること。日本には「出る杭は打たれる」ということわざがある。これは服従せよとの警告だ。

その他グーグルでは、メンバー主体の民主的な組織文化を醸成しています。具体的には以下のような考え方を実践しています。マネジャーとして、いきなり以下を実践するのは不安を感じると思います。その不安を克服するために、定期的な1on1ミーティングなどによってベクトル合わせをしていくといいかもしれません。

勤務時間の20%ルール(20%は業務以外の取組をしてもよい)

リーダーはメンバーを「管理」しすぎない

意思決定は、組織のできるだけ下位のレベルでなされるべき

マイクロマネジメントは、弊害が大きいので、しないようにする

 グーグルでは、マネジャーの権限をできるだけ強くしないように統制し、社員が自由を感じて働けるような組織文化になるようにしています。

 日本企業では、プレーヤーとして実績を上げた社員がマネジャーになることが多いので、そのプレイングをメンバーに「任せる」ことがなかなかできないと言われていますし、自分自身もそのように考えていました。

しかし、その領域をメンバーに渡して自律的に業務遂行してもらうと、圧倒的に「楽」になるし、他に注力できる「時間」を確保できることを経験しました。

 マネジャー自身も、次のステップに向けた挑戦が必要な時代ですので、その時間を確保するために、既存の領域はできるだけメンバーにやってもらえる体制にすることは、メリットも大きいです。

・マネジャーが見逃しているのは、自分が支配権を少しばかり放棄するたびに、チームにとってはステップアップのすばらしいチャンスが生まれるということだ。同時に、マネジャー自身も新たな挑戦のための時間を手にすることになる


クリックありがとうございます。
-------------------------------------
にほんブログ村 経営ブログへ

にほんブログ村 士業ブログへ



-------------------------------------