イノベーショナル自販機について
「イノベーション」とは、様々な定義がありますが、経済学者のヨーゼフ・シュンペーター(1883~1950)が説いたイノベーションは有名です。
シュンペーターが説いたイノベーションは、「新結合」と言われるもので、異なる2つのものを結合させて、新しい価値を生み出すことです。つまり、「組み合わせ」がイノベーションを起こす源泉と読み取ることができます。
イノベーションに必要な「組み合わせ」の要素を持つ自販機を見ましたので、2つの例を紹介したいと思います。
1.焼き芋の自販機
沖縄県那覇市大道にあるガソリンスタンド(ENEOS)に、焼き芋の自動販売機があります。
開発したのは、宮崎県で不動産業を営む和光産業の児玉雄二社長です。児玉社長は自身の畑で障がい者と野菜を栽培していたが、収穫した量を売り切れないなど、利益の確保に悩んでいた中、体調によって仕事ができない障がい者もいて、計画通り生産できないもどかしさがあったそうです。
そこで目をつけたのが自販機。休みなく毎日24時間稼働する自販機は販売コストを抑えられる上、真空パックの焼き芋は長期保存できるため、日々の生産量にむらがあってもストックできます。
宮崎県内に設置すると売れ行きは好調で、2019年には全国25台に拡大。1カ月で5千缶を販売したそうです。宮崎県内の福祉施設3カ所と協力し、障がい者が焼き芋を生産、加工しているとのことです。
つまり、この自販機は「農業×福祉」という組み合わせで生まれています。
2.冷凍食品の自動販売機
スポーツジムの前にあった高タンパク・低カロリーの弁当を販売する自販機です。こちらは、サンデン・リテールシステム株式会社が開発した冷凍食品の自動販売機「ど冷えもん」を活用しています。こちらは、スポーツジム×筋肉増強の組み合わせといったところでしょうか。
まだ珍しいこれらの自販機が近所にあると、自然と目を引くのは間違いありませんね。