コーポレートガバナンスと人的資本への注力

2015年に公表されたコーポレートガバナンスコードが、2021年に再改訂されました。
改訂の大枠としては、以下の3点です。

①取締役会の機能発揮
②企業の中核人材における多様性の確保
③サステナビリティを巡る課題への取組み

「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」とは、企業が株主をはじめ、顧客や従業員、地域社会などさまざまなステークホルダーとの望ましい関係性や、企業を監視する取締役会などの組織のあるべき姿について記述した文章のことです。透明性があり、公正かつ迅速な意思決定を行うための仕組みとして機能しており、日本企業のガバナンスの底上げを目的に、2015年に金融庁と東京証券取引所が共同で策定したものです。

今回の改訂で注目されているのが、人材戦略など、人的資本への注力が求められている点です。

外的環境が大きく変わり、若者は終身雇用に頼らず、安定志向に向かうか、自己成長・自己実現ができる機会を求めるようになっています。そのような働くことへの志向変化に対応し、優秀な若手人材を繋ぎとめるには、会社が変わるしかありません。

松田千恵子氏によると、有能な若手を惹きつけ、かつ長く働き続けてもらうためには
①会社自体が魅力的であること
②仕事を通じて成長を実感できるようなスキルの獲得やプロフェッショナルへの道筋が明確であること
③それに見合った報酬やポジションの公正性確保
が必須になるとしています。

今後、業務に「創造性」がより求められるになれば、今後の会社の運命は人材の質で決まることは必然ですから、いかに抜本的な人事面の改革ができるかが問われてくるのではないかと思います。

さらに松田氏によると、今後必要となるキーワードとして以下を記しています。

・マネジメントトレーニング
 社長の後継者を健全性を持って決定できるように明文化すると共に、管理職ではなく「経営職」を志向していくことが必要。若手時代にプロジェクト・マネジメントを経験した人材は、仮想社長の役割を経験するので、社長職になる可能性が高い。
・人事面で、現時点で求められていること
「人材開発」とそれを具現化する「人事制度開発」が求められている。また、人事戦略を推進するためにCHROを設置する企業も増えてきている。

これまでの時代を考えると、人事面が戦略フェーズのテーブルに上がることに対して違和感を感じる経営者もいると思います。人的資本経営を推進するためには、世代間の考え方の相違を客観的に捉え、会社の同調圧力に巻き込まれずに、経営層にしっかり目的・進捗を理解してもらいながら進めることが必須だと思います。


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