組織開発の定義と3ステップ
人事部にいると、最近「組織開発」という言葉をよく耳にするようになってきました。メンタル不全による休職者が増加するなど課題をかかえる組織・会社が「組織を改善したい」という意味で使われることが多いと思われます。
そもそも、組織開発とはどのような考え方なのでしょうか?
書籍「組織開発の探求(中原淳、中村和彦 著)」によると、組織開発の定義について以下のように記載されています。
明確な定義はない。様々な学問定義や手法から組織開発を説明しようとすると、どうしてもはみ出してしまうものがある。「組織開発」という言葉は、様々な学説や手法を包み込む「風呂敷」のようなもの
組織開発は、様々な定義や経緯があるため、『唯一の定義』というものは存在しないようです。
ただし、上記書籍による簡便的な理解のための定義として、以下のような表現をしています。
「組織開発とは、組織をworkさせるための意図的な働きかけ」
具体的には、以下のような定義をしています。
①人を集めてもてんでバラバラで、チームの成果が出せない場合に
②あの手この手をつかって
③組織を「work(成果を出せるように)させる」 意図的働きかけであり
④そのことでメンバーにやりとりが生じ
⑤チームの共通の目標に動き始める手助けをすること
上記の定義による組織開発プロセスを進めていくためには、3つのステップを意識する必要があるようです。
①見える化(自分の組織の問題を「可視化」する)
②ガチ対話(可視化された問題を関係者一同で真剣勝負の対話)
③未来づくり(これからどうするかを関係者一同で決める)
組織開発のルーツを辿ると、哲学的基盤となる考え方があるようです。重要とされる人物と、ポイントとなる考え方は以下の通りです。
ジョン・デューイ
①「経験」こそが「学習の源泉」である
②「経験」を対象化する「リフレクション」から学び、変化することができる
エドムント・フッサール
①人々の「<今-ここ>の経験」を意識化し、記述することが思考にとっては重要である
②人は必ずしも「見えている」わけではない。自明だと思われるものを意識的に上げることが重要
ジクムント・フロイト
①人間にはどんなに意識しようともなかなか意識できない領域「無意識」が存在する
②無意識化にある抑圧を顕在化していくことが、病理の治療(改善)につながる
ジョン・デューイの考え方は、1on1ミーティングの意義として詠われている「経験学習」にも繋がっています。どうやら、人材開発と組織開発は、類似するルーツがあるようです。