ビッグデータによる人流予測サービス

 

ソフトバンクが、小売りなど実店舗の集客に生かせる人流データや気象データを人工知能(AI)で分析するサービスを2022年度にも月額5390円で始めることを発表しました。

人流統計などのビッグデータを用いた来店予測サービスは、すでに存在していますが利用料金が高額なため、利用者は大手チェーン店などに限られていました。

今回の価格設定により、中小企業や個人事業主でも利用しやすくなるため、エリアマーケティングなどの裾野が広がる可能性があります。

これまでの一般的な商圏分析では、総務省が発表している国勢調査が主な情報源として利用されています。5年に1回実施される調査では、居住地をもとにした夜間人口を示すため、通勤や通学、買い物などで流動的な昼間人口を示すことはできません。

特に宅地開発や都市開発などが活発に行われている地域では、時間経過したデータの正確性に問題がありました。さらに、分析単位は最小でも500m四方(または町丁字)なので、狭い商圏の分析を必要とする小売や流通サービスにおいて正確な小地域分析が難題でした。

なお、これまでの主な商圏分析ツールの比較が以下になります。無料・有料がありますが、元データは国勢調査が主となっているようです。今後、人流データも利用できるようになる可能性があります。

[出所]㈱ディーチ


ソフトバンクが今回提供するサービスは、携帯電話基地局で得られる約3000万台の携帯端末の位置情報をもとに生成した人流データを元にしています。それに日本気象協会が提供する14日先までの気象予報データを組み合わせています。

気温や風速など7項目が対象で、対象店舗周辺の人の流れを予測できます。各店舗ごとの来店実績や販売データを入力することで、天候や気温などとの相関をAIが分析し、来店者数を予測します。気象予測データを組み合わせて、来店客数の予測や需要予測ができるようになっています。

ソフトバンクなどが提供する人流分析サービスは、「施設来訪者」や「通行者の導線」、「あるエリアの滞留者」などが測定できこれまでは現地で計測しないとデータが取得できない領域を可能にしました。

国勢調査データとスマホ会社(通信会社が提供する人流)データの比較

[出所]筆者作成

今後も、ますますビッグデータを活用した分析サービスが進化していきそうです。


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