統合報告書と非財務資本の情報公開について
これまで、人的資本について投稿していましたが、人的資本は非財務情報の1つと捉えることができます。
カーボンニュートラルへの取組みなどの非財務情報を、統合報告書によってステイクホルダーへ開示し、企業価値を向上させる取り組みをする企業が増えています。
2014年に国際総合報告フレームワークの日本語訳が開示され、2021年現在、日本では大企業を中心に500社以上の企業が統合報告書を作成しています。また、総合報告書を作成する企業は年々増加傾向にあります。
KPMGジャパンの調査によると、非上場企業や大学なども含めると、2021年は716社が統合報告書を発行しました。2014年(135社)と比較すると5倍になっています。
[出所]KPMGジャパン
統合報告書を発行する目的を、国際統合報告フレームワークは『財務資本の提供者に対し、組織がどのように長期にわたり価値を創造するかを説明すること』と説明しています。
また、国際統合報告フレームワークは、「財務資本」に加えて、非財務資本を以下の5つに分類し説明しています。
「製造資本」
「知的資本」
「人的資本」
「社会・関係資本」
「自然資本」
楽天グループでは、上記のフレームを活用しつつも、「製造資本」を「物流資本」に、「自然資本」を「通信資本」に読み替えています。これにより競合優位性を発揮し、持続的な成長に繋げています。
中堅、中小企業による統合報告書発行も増えているようです。
例えば、沖縄電力は売上高5000億円未満の企業ですが、統合報告書を発行しています。
上述した国際統合報告フレームワークにおける財務資本を含めた6つの資本をベースに設定し、事業活動及び価値創造へと紐づけさせています。
統合報告書の開示は今のところ任意ですが、非財務資本の情報開示の重要性は、今後ますます増していくことが予想されます。
人的資本を含めた非財務資本の可視化から課題設定までのプロセスをどれだけ本気で実施し、「市場共通課題」だけではなく「自社ならではの課題」を見出し価値創造へ繋げられるかが、中長期的には市場での差別化となっていくと思います。