ピープルアナリティクスに必要な「4つのスキル」
ピープルアナリティクスを推進する上で必要なスキルは以下の4つに大別できます。具体的にどのような局面で発揮されるのかをまとめていきたいと思います。
スキル1:課題設定力(仮説力)
・テーマ設定力
「何を実現したいのか、そのためには何を明らかにしたいのか」といったことは最低限あらかじめ決めておかなくてはならなりません。
また、例えば退職をテーマに選んだとしても、ハイパフォーマーの退職を抑制するのと、入社後3年以内の退職を抑制するのでは、必要となるデータ項目や分析手法も異なってきますので、本格的な分析に着手する前にテーマを絞らなければ、意味のある分析になりません。
・要因仮説設定力
要因仮説を設定するポイントは、要因となり得る要素を可能な限り網羅的に洗い出すことです。理論上候補となり得る要因のうち、可能性の低いものは思い切って捨てて、影響を及ぼしていそうな要因を特定するといった「筋のよい仮説」の見極め力が必要となります。
スキル2:データ化力(変数設定力)
データ化(変数設定)のポイントは、「いかにデータを加工するか」です。
・時間軸を設定
データ分析の際に、いつからいつまでのデータを活用するかは常に論点となります。目的変数(例えば退職発生の有無)に対して、どの期間の働き方が影響を及ぼすのかという仮説設定が重要になります。
一般的には、時系列を遡るほど分析対象となるデータ量が増加し、特に退職・休職などサンプル数が不足しがちな分析時には対象期間を長く取ることは効果的です。
一方でデータの欠損(直近入社者が対象外となる、該当項目データ取得が開始されていないなど)が発生したり、データ項目の意味が変わってくる(評価基準が途中で変更されているなど)というデメリットも発生するので、これらのトレードオフの関係を頭に入れながら、最適な期間を設定することが必要です。
・数値の変化を捉える力
データ分析の際には、数値には高低以外にも様々な側面があり、どのように変化しているかを読み取ることもが効果的な場合があります。
例えば、新人Aさんのエンゲージメントを分析する際、スコアの絶対値ではなく、異動前後の差異に着目する必要があるケースなどです。仮説に基づいて、意味のありそうな変数は何かを抽出することが重要になってきます。
・数値化(距離化)する力
人材データ分析・活用でよく出てくるのが、「〇〇部長と△△さんは似ているのか」という観点です。上司と部下の関係において気質が似ている場合とそうでない場合で、部下のパフォーマンスはどう変わるのかといったケースです。
この場合、上司と部下の適性検査の項目別の差異を合計すると、差が小さいほど似ている、差が大きいほど似ていないとみなすことができます。
スキル3:分析手段選択力
人事領域では、大まかに以下のいずれかに区分することができます。
①何かを予測すること(原因分析)
例)A部門の退職要因トップ3、Xさんが退職する可能性率
②似たもの同士で分ける
例)今年の採用者は、企画型が20%
具体的な分析手法としては、大きく以下3つの手法が使われます。
・クラスター分析
・決定木分析
・回帰分析
予測・原因分析は、決定木分析と回帰分析が候補となり得ます。その場合は、予測モデルに基づいて算出した結果の答え合わせをして、予測精度の高い手法を採用するといったプロセスを経ることになります。
スキル4:解釈/説明力
データ分析の結果は、あくまでも意思決定する際の気づきを与えるサポートとしての位置づけであり、データ分析によって得られた結果を視点として取り入れて意思決定することが求められます。そこで重要となってくるのが「解釈/説明力」です。
分析結果が何を意味するのかを把握するためには、「なぜそうなったのか」を根拠づけることと「それは何を意味するのか」という示唆を出さなければなりません。
また、わかりやすく腹落ちするストーリーをいかに作れるかが、効果的な分析や施策立案に必要なポイントになります。