人事制度改定③ 等級

1.等級制度の役割

 前回、人事制度改定の判断軸として「改定コンセプト」と「人材ビジョン」を定めました。ここからは具体的に人事制度の中身を改定し、構築する方法を解説していきます。

※前回までの内容はこちら

人事制度改定① 現状分析・改定方向性

人事制度改定② ビジョン・制度改定コンセプト

 

 人事制度の構築要素は、「等級」「評価」「報酬」の3つです。ここではまず「等級」について見ていきましょう。

・等級とは何か

 企業には、「働き方」「役割」「職責」などを決めるために、様々な観点から人材を区分する容れ物があります。例えば契約形態、職群、階層、資格、役割、役職、職種などです。これらの人材を区分する容れ物を総称して、「等級」と呼んでいます。

 等級を構築するとは、戦略実行に向けて社員に求める役割や職責、能力発揮状態を明確化するための「枠組み」と「具体的な定義」をつくることです。

・等級の重点は会社によって変わる

 人事フレームの重要性は、業種や業態、企業によって異なります。

 例えば、飲食業界では正社員が少なく、スタッフとしてパートやアルバイトが多いです。その場合、正社員だけでなくパート・アルバイトの等級設計も重要になります。

 また、自動車メーカーなどの製造業界で開発、製造、物流、営業など自社内のバリューチェーンが長く、各機能に高い専門性が求められる場合は、職種別の等級を設計するケースもあります。

・業務内容や働き方の多様化へ対応する必要がある

 現在、働く人の貢献内容や働く目的、働き方などが多様化してきています。そのため、これまでの単線的な職能等級では、人材を適切に活用できなくなっています。

 例えば、業務を、非定型的・創造的な業務(クリエティブ)と定型的な繰り返し業務(オペレーティブ)に区分します。また、組織(チーム)で成果を出す業務(マネージング)と、個人で成果を出す業務(プレイング)とに区分します。すると、企業内での様々な役割が、以下のような4象限のマトリクスに位置づけることができます。

[出所]野崎洸太郎、山田博之、小林傑著、『戦略的人事制度のつくりかた』を元に著者作成

 これらの役割は、いずれも企業において必要なものです。しかし、これらを同じ等級のコンセプトで処遇しようとするのは、無理があります。

 例えば、クリエイティブかつプレイングな領域で活躍してもらいたい高度専門人材は、等級が上がると管理職(マネージング)に移行しなければならない単線的な職能等級の中に位置づけることは困難です。すでに複線型の枠組みを導入されている企業も多いですが、その枠も越えたジョブ型雇用を検討すべきかもしれません。

[出所]野崎洸太郎、山田博之、小林傑著、『戦略的人事制度のつくりかた』を元に著者作成

2.等級制度の詳細分析

 制度改定に当たって最初に必要なことは、現状の人事制度およびその運用について分析し、正しく現状を把握することです。これは、前述の「人材マネジメントの現状分析・改定の方向性検討フレーム」で記載した内容の再確認になります。

 ここでの分析は、等級における制度面と運用面の両面で行います。

[出所]野崎洸太郎、山田博之、小林傑著、『戦略的人事制度のつくりかた』を元に著者作成

・制度面の分析ポイント

 制度面の分析ポイントは、以下の3点です。

①等級定義は明文化されているか(能力発揮や貢献状態は明確か)

②等級定義の内容は企業の実態に合っているか

③等級間の違いは明確になっているか

 等級の定義が明確になされていること、等級間の違いが明確になっていることは、表裏一体の関係です。等級の定義が不明確であれば、当然、等級ごとの違いも不明確になるためです。従って、等級定義を明確化することが第1に重要です。そして、その定義の内容が、企業の実態と合っている必要もあります。

それらが現状で適切に設定されていない場合は、適正化しなければなりません。

・運用面の分析ポイント

 運用面の分析ポイントは、以下の3点です。

①社員が自分の等級定義を認識しているか

②各等級の在籍人数は妥当か

③各等級の年齢構成は思想に合っているか

(不要な滞留や年功序列的な運用は見られないか)

 等級定義が明確ではなく、また、実態にも合っていなければ、社員にもそれを正しく認識してもらうことはできません。あるいは、明確な定義があるのに、単に告知不足、教育不足によりそれが知られていない場合もあるかもしれません。いずれにせよ、それは人事制度の運用上、大きな問題です。

 

 理想的には、すべての社員が自分の等級とその定義を認識し、また、上位等級に昇格するためには何が必要かを理解しているべきです。言い換えると、すべての社員が「自分は会社から何を期待され、何をするべきか」を理解しているという状態だからです。

人事としては、そのような状態を目指す必要があります。

 また、③については、本来はその等級にいるだけの能力や貢献がないにも関わらず、単に勤務年数が長いといった理由で、その等級に上がっている人がいることは、どの会社でもよくあります。これらの人は本来、等級を降格させなければならないのですが、降格人事の実施が(かわいそうといった理由で)難しくなっていることがあるのではないでしょうか。

 この課題を適正化しないと、コア人材にネガティブな影響を及ぼしてしまいます。ここではそのような適切とは言えない運用がどの程度あるのかを、把握しておく必要があります。

3.企業成長と等級の変化

 現状分析により、制度上、運用上の不備が明らかになったら、それを変えなければなりません。場合によっては、制度の枠組みは変更せずに、等級定義を明確化するだけや等級を1等級増やすなどのマイナーチェンジで済む場合もあります。今回は、全体的に見直す方向性で見ていきましょう。

 一般的に、企業はその成長発展に応じて、職責と職種の数が増えていきます。その職責と職種の組み合わせにより、等級の種類や等級数も変化していきます。

 現状の等級に不都合があるとしたら、それは企業の成長段階(職責と職種の広がり)と見合ったものになっていないということが考えられます。

 ここでは最もシンプルな「簡易職位等級」から最も複雑な「事業・職種別複線型等級」の5つの類型で考えてみます。

①簡易等級

 創業の初期段階では、管理職と一般職の2分類しかない「簡易等級」です。社長と社員数名の会社が、そのミニマムの形です。

②多層等級

 管理職、一般職それぞれの区分の下位に、職責や職務能力に応じた等級区分が存在する制度です。小規模から中規模までの、日本の多くの企業は、この人事制度が採用されています。

③複線型等級

 多層等級の場合、一般職の上位等級となる管理職は、マネジメントの役割を担うことになります。言い換えると、マネージャーという役割として貢献できる人しか上位等級になれないということです。そうすると、マネジメントの業務には向かないけれど、高度な専門知識・スキルにおいて多大な貢献ができる人がキャリアアップしていく道がなくなります。

 そこで、そのようなタイプの人にもキャリアアップの道を用意するのが、複線型等級です。管理職としてキャリアを積んでいく以外に、専門職としてキャリアを積む道をつくり、本人の適性に応じて選択できる制度です。

 

 ただし、この制度の運用でよく見られる問題が。単に管理職としての能力、適性がないが、職歴が長いために一般職にしておくことはかわいそうだといった「管理職不適格人材」の受け皿として、専門職コースが利用されてしまっていることです。このような運用をすると、本当に専門職としての能力がある人が活性化できないことになりよくありません。

 逆に、専門職コースに進むためのハードルを上げすぎてしまい、制度としては存在するものの実際はほとんどそこに進む人がいない、というのもよく見られます。これも問題です。これらの解決方法は後述します。

④事業・職種別 多層職位等級

 多層職位等級から分化するもう一つの方向としては、職種あるいは事業が増えるのにあわせて、事業ごとに多層職位等級をつくる方法です。

 例えば、飲食店を展開していた会社が、新たにEC部門をつくるのであれば、EC部門では飲食店部門とは別の等級を導入するといったケースです。

⑤事業・職種別 複線型等級

 事業・職種別多層職位等級において、さらにそれぞれの事業の等級ごとに複線型等級を導入すれば、この形態になります。

[出所]野崎洸太郎、山田博之、小林傑著、『戦略的人事制度のつくりかた』を元に著者作成

4.等級コンセプトの種類

 続いて、等級において、何を基準にして等級を決めるのかという「等級コンセプト」(格付けの考え方)の種類を説明します。

 格付けの考え方には、大きく分けて「職能等級」「役割等級」「職務等級」の3種類があります。

・職能等級

 戦後の日本企業で広く用いられてきており、現在でも多くの企業で採用されている考え方です。この制度は、社員の「能力(職能)」によって等級を定める制度です。

 ここでいう能力とは、行動によって示された顕在化された能力を指します。また、特定の職務に関するものだけではなく、社内のすべての職務に共通して発揮される能力のこととされます。

 その社員が、どれくらいの仕事ができる能力を持った人なのかを評価し、その社員に対して等級をつける制度といえます。

・役割等級

 上述した職能等級と欧米型の職務等級の中間のような性質をもつのが役割等級です。

例えば、A課長、B部長といった役割に対して等級が紐付けされる制度です。その役割で行わなければならない職務内容は多岐に渡るため、役割定義は職務定義よりも広範囲となり緩やかな定義となります。

・職務等級

 職務等級は、仕事内容に対して等級が定められている制度です。

 原則的には、会社内の全て(または一部の職群)の職務に対して職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)が作成され、そこに定義された職務の重要度や難易度(ジョブサイズ)によって等級の上下が定められることになります。ただ、実務上ではそこまで厳密な定義はせずに、このような仕事はこの等級というように、仕事の等級だけを定めていることもあります。

 同じ職務であれば、誰が担当しても同じ等級になるので、仕事に対して等級をつける制度だといえます。

・等級コンセプトは択一ではない

 ポイントとしては、等級コンセプトは上記のどれかを択一で選択しなければならないものではないという点です。

 人事制度全体のコンセプトはこれまで検討してきたとおり共通のものをもつべきですが、会社の状況に応じて、一般職は職能等級、管理職は役割等級、専門職は職務等級というように、複数の制度が混在しても問題ありません。

5.等級の決め方

 等級コンセプトとあわせて、等級数を決めていきます。一般的な型としては、社員の管理職層と一般職層を大別し、上記の管理職層は管理職と専門職に分け、それぞれ異なる等級制度、等級数を適用するケースが多い傾向です。

・管理職層、専門職層の等級数の考え方

 管理職については、組織・役割の職責に合わせて等級を設計するとよいでしょう。つまり役割等級です。等級数については、会社組織や役割の段階に応じて、そのまま等級をつくればいいだけです。

 部長や課長という具合に役割が明確な管理職は、その役割に応じて等級を決めるのが合理的です。

 専門職については、専門性に応じた職務内容が明確です。専門業務の難易度の段階や業務責任の影響範囲に応じた職務等級にするのが望ましいでしょう。なお、専門職の影響範囲は、そこまで細かく区分できることは少ないことが多く、多くの企業では、上級専門職と普通専門職の2段階程度となることが通常です。2段階も設定できない場合は、全体で1つの区分でも構いません。

・一般社員層の等級数の考え方

 一般社員層は、キャリア開発レベルに応じて等級を設定するのが一般的です。つまり、本人の成長段階に応じた等級ということになりますので、コンセプトとしては職能等級になります。

 そして、キャリア開発レベルをそのまま等級数とします。例えば以下のような能力開発を想定するのであれば、4段階の等級となります。

・手取り足取りティーチングすることで業務遂行できる(新入社員)

・簡易的な指導で業務遂行できる(スターター)

・都度指導を受けなくても、自律して業務に取り組める(一人前)

・リーダーシップをとって周囲を引っ張り指示できる(リーダー)

[出所]野崎洸太郎、山田博之、小林傑著、『戦略的人事制度のつくりかた』を元に著者作成

※専任職については、現等級に「限定職」のような別等級群がある場合など、一般職に統合できない事情が発生した場合に、次善策として設定することも一案です。場合によっては、役職定年後の社員の受け皿や新制度で降格候補になった社員に適用する場合もあります。ただ、役職定年後の社員については、管理職層に別途設置する場合もあります。

 これらの設置は、後々のことを考えると、可能な限り避けるのが最善ではありますが、やむを得ない場合にはこのような方法もあるということは、念頭に置いておいてもいいと思います。

6.等級定義の描き方

 人材の「容れ物」である等級の枠組みや等級数が決まったら、次は各等級の定義を定めます。

 現状分析で触れたように、企業実態に合った等級定義を、明確な文章として定め、かつそれを全社員に周知徹底することは極めて重要です。

・等級の名前を決める

 等級ごとの等級名を決めます。等級名は、等級制度の中での段階を示します。1等級や2等級といった表現でもいいですが、M(マネージャー)1、M2やGM(ゼネラルマネージャー)などのように、意味のある名称の方が社員に浸透しやすいのでよりよいと思います。

・等級定義の例

 まず、管理職においては、等級ごとにマネジメント範囲を定義しています。一方、一般職層は等級ごとに成長目標を定義しています。いずれの層においても、その等級で何を求められているのか、他等級とはどう違うのかを明確に定義します。

[出所]野崎洸太郎、山田博之、小林傑著、『戦略的人事制度のつくりかた』を元に著者作成

ただ、この定義だけでは、やや抽象度が高く、人によっては受け止め方にばらつきが出る可能性があります。

 そこで、日々の業務でどのような役割が期待されているのか、どのような能力を発揮すればいいのかをより具体的に定めた「詳細定義」も作成します。

 これらの定義作成においては、個々の等級定義が明確であることに加えて、できるだけ上下の隣接等級との差異を明確にすることも留意しなければなりません。

[出所]著者作成

ここまで作成してはじめて、全ての社員に等級定義への理解を周知徹底させることができるようになります。

・専門職の定義について

 なお、専門職の定義についてはどのようにすればよいでしょうか。公的資格が必要とされる職務であれば明確ですが、実際にはそのような職務は少なく、そうでない場合にその「専門性」をどう定義するのかは悩ましいところです。また、エンジニアの場合などは技術進歩があるため、限定された定義をしても数年で陳腐化してしまい。使えなくなってしまうこともあり得ます。

 そこで、専門職については、定義自体はガチガチに固めずに緩く設定しておき、別の方法で昇格基準をつくる方法もあります。

 例えば「申請制度」と「更新制度」を設けるやり方です。詳細については後述します。

7.等級設計のポイント

・一般職層は、「成長の見える化」を意識する

 近年、若年層では高い成長欲求を持つ人が増えています。そのような人は、会社に対して「自分がどのように成長すればいいのか、その指針や道筋を具体的に示して欲しい」という要望を持っています。そこで、特に若年層が多い一般職層については、本人の能力開発や成長が「見える化」できるように、細かく等級を設定するとともに、各段階で求める能力や成長を明確にすることを、制度設計段階で意識しなければなりません。

 例えば、入社後、最初は指導を受けながら仕事を覚えていく段階があり、そこから教えられた一定範囲のことであれば、自分だけでできる段階になります。さらには、過去の経験を応用して、自分でできる範囲が広がり、さらに人にも教えられる段階へと進むのが一般的な成長プロセスです。それが、「一般社員層の等級数の考え方」で示した区分の根拠です。

 そしてそのような等級を設定するだけではなく、各等級において、会社としてどのような成長を望んでいるのかも、あわせて明確に示す必要があります。つまり等級定義の明確化です。

 若年層に高いモチベーションで働いてもらうためには、成長を見える化することで動機付けを図らなければならないことを留意する必要があります。

・管理職層は、「役割・職責の見える化」ができる等級設計を意識する

 一方、管理職・専門職層においては、一般職層とは別の考え方になります。管理職・専門職層に対しては、どのような「役割や職責」を担って欲しいかが見える化できる等級にしなければなりません。各組織や組織内の各ポストで等級を分けるのであれば、その組織やポストにおいてどのような成果が求められるのかが、等級区分や等級定義において「見える化」されているべきです。

・再格付けは妥協しない

 人事制度改定は、経営戦略をよりよく実現していくために、それに資する人材を採用、育成し、またそういった人材に厚く報いることを目的として行われるものです。

 戦略実現という観点から評価基準あるいは価値判断の基準を変えるのが人事制度改定なので、新制度へ移行する際の「再格付け」において、格付けが上がる人もいれば、下がる人も出てくるのは当然です。もし全体的に見て、旧制度と同じ序列で格付けがなされているなら、制度改定をした意味がありません。

 その際に、絶対にやってはいけないことが、その等級に見合わない人を、その等級で再格付けしてしまうことです。適性や能力の実態にしっかりと合った再格付けを行うことは、骨の折れる作業ですが、制度改定の趣旨から考えても、手を抜くべきではありません。

 ただし、人事制度改定は「会社都合」によって実施されるものであることは間違いありません。そのため、再格付けによりもし給与などの処遇が下がる人が出るならば、例えば当面の間は「調整給」などを支給して、不利益がないように配慮することも必要です。

・専門職カテゴリーを活性化させる方法

 専門職カテゴリーの運用についてですが、複線型等級を設定し、管理職コースと専門職コースを設けている場合に、専門職コースが形骸化してしまっていることがよくあります。

 専門職の形骸化には主に3つのパターンがあります。

①専門職の定義をガチガチに決めて、その昇格に厳しい条件を設けすぎているため、該当する人がほとんどいなくなっているような状況

②実際に一般職から専門職へ昇格させた人、あるいは、専門職として採用した人が、想定していたほど専門性を発揮できず、それにも関わらず一般職より高い待遇のまま据え置かれているような状態

③管理職にあがりきれない、あるいは、いったん管理職に就かせたものの、適任ではないと会社から判断された人について、下位等級に降格させることが忍びないという理由で「とりあえず専門職」としてしまい。専門職が、いわば「仕事ができない人の吹きだまり」のようになってしまっているパターン

 複線型等級制度を設けている会社では、これらのいずれかに該当している会社が非常に多いと言われています。

 そこで、解決策としてあるのが「申請制度」と「更新制度」の導入です。

 一般的な管理職であれば、その適性について、同じ管理職である上司が評価することはやりやすいですが、専門職の適性について、その専門家ではない上司が評価することは、そもそも難しいことです。

 専門職に厳密な定義を作成したり、専門ではない上司が専門性を評価して専門コースに昇格させることをせずに、本人の申告をベースにした「専門職申請制度」を設け、人事委員会など予め社内で定められた公式な会議体の承認により、専門職への任命をすることとします。

 このスキームによって、申請した社員が「何を専門性とするかを会社として都度検討できる」ようにしておくことができます。

 その一方で、その任務に不適切な人が専門職に在籍し続けることを防ぐために「専門職更新制度」も設けます。

 これは、1年など一定期間ごとに、専門職人材の専門性の発揮状態について結果を確認し、期待通りの結果が出せているのなら、そのまま専門職を更新する一方、結果が出せていないのであれば、更新しないという制度です。

 専門職はその専門性を活用して結果を出すことが求められ、相応の高い処遇を得ます。結果が出せないのであればその任務に不適切であることは当然です。また、結果の有無に関して、評価者に専門知識は不要です。

 つまり、門戸を広げる一方、結果責任を果たさなければその職に留まれないようにするということです。

 このようにすれば、現状、多くの企業で見られる専門職コースの形骸化を防ぎ、会社が期待する真の専門職人材が力を発揮できるようになるはずです。

 因みに専門職は、法務や会計、医師など国家資格で認定されるものや、デジタル領域などの専門知識が必要とされるものが一般的には想起されます。しかし、例えば「営業」や「生産管理」といった、企業内で通常業務として行われている職務を担当する人でも、高い付加価値が生み出されるのであれば専門職として認められるべきだと思います。

 ただ、営業などに資格はないので、その専門性を客観的に担保するには、結果や実績しかありません。自分の専門性を「結果」という形で証明する必要があります。

 その証明を常に確認し適切な処遇をするために設けられるのが「更新制度」なのです。


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