人的資本開示③ 指標を選ぶ3つのポイント

 今回は、人的資本経営における積極的な開示に向けてどのような指標を選択していけばいいのかについて、3つのポイントを挙げてみたいと思います。

1.人的資本開示の対象となる各種指標の性質を把握・理解すること

 ISO30414で定められている58指標は、①インプット系 ②アクション系 ③アウトカム系 の3つの分類があると記載されています。

①インプット系指標の例は、研修時間や報酬額など、どれくらいの時間と金額を人へ投資しているかを定量的に示すことが求められる指標群です。

②アクション系指標の例は、リーダーシップ開発プログラムの実施やエンゲージメント向上につながる組織一体化施策などが挙げられます。様々な人事・組織面の活動を定量的/定性的の両面で示す指標です。

③アウトカム系指標は、人的資本経営に対するインプットとアクションの結果・成果として定量的に示すことが求められる指標群です。例えば、人的資本の投資対効果を示すROI(Human Capital Return on Investment)やエンゲージメントスコアが挙げられます。

図解で示すと以下のようになります。アウトカムが自社のKGIとなり、その達成する手段としてのKPIがアクション、それを具現化するための投資がインプットというように、逆流で考えてみると分かりやすいかもしれません。

[出所]経営戦略としての人的資本開示(一般社団法人 HRテクノロジーコンソーシアム)

2.人的資本のデータ指標を、自社の経営・組織・人材が持つ強みにフォーカスして、取捨選択すること

 自社のパーパスや経営戦略に基づいて人的資本マネジメント指標を取捨選択して体系化することで、人事領域における定量的なPDCAサイクルを回して持続的な成長に繋げます。

3.できる限り数値で計測可能な指標を選ぶこと

 数値に基づいて組織活動や個人活動の成果を定量的に計測することで、前年度対比でどれくらい改善したのか、その改善効果はどの施策がどれくらい貢献したかが、定量的かつ時系列で比較可能となり、納得感がある形で的確な改善策を実行することができるようになります。

 これまで、組織活動の可視化・定量化は難しい領域でしたが、組織心理学に基づくエンゲージメントは理論化されており、様社内エンゲージメントを測定するクラウドサービスも活発化していますので、当該サービスを活用し、定量化を図るのがいいと思います。


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