人的資本経営テーマ②_後継者計画

  後継者計画とは、タレントマネジメントの一環として捉えることができます。

タレントマネジメントとは、従業員一人ひとりの強みや特性を見極め、その能力やスキルを最も発揮できるポジションに戦略的に配置して、必要に応じて戦略的な人材育成を行い、会社の業績向上と従業員体験の向上のどちらも実現させる統合的な取り組みです。

その中でも、特に幹部候補生やマネジメント層にフォーカスして優れた人材を長期的な視点で育成していく取組みを「後継者計画(サクセッションプラン)」といいます。

戦略的な後継者計画は、組織が今必要としている人材ではなく、将来の成長と事業計画に沿った組織の将来に必要な人材、知識、スキル・コンピテンシーを予測することが重要です。

そのことから、後継者計画とは組織全体のタレントマネジメントの根幹といっても過言ではありません。マネジメント層の配置計画、育成計画がしっかり戦略的に行われているからこそ、メンバー層についても具体的に、かつ中長期的な視点で計画していくことができるからです。

外部報告には推奨されていませんが、ISO30414メトリクスの1つに「後継者有効率」があります。これは、クリティカルポジション(組織の成功にとって非常に重要なポジション)のうち外部からの採用者に対する内部昇進者の割合のことです。

企業の自律的かつ持続的な成長を目指すためには、内部からの後継者を育成、昇進させることは極めて重要ですが、一方で昨今のオープンイノベーションの重要性を鑑みると、本項目の値が100%(後継者がすべて内部昇進者)に近い水準だと組織硬直化を招く可能性があります。

そのため以下2つのポイントを押さえた体制することが必要です。

①社内人材について次世代のタレントプールを充実させておくこと

②社外からの人材登用を必要に応じて素早く行えるように、共有化された人材評価基準を持っておくこと

この体制は、従業員の観点から見ても、自身にとってどの程度のチャンスが与えられているかを把握することができるので、成長機会を見出すことができます。

また、リーダー志向の人材にとっても、後継者計画が適切に運用されている企業は、キャリア価値を上げるための機会が用意されていると感じるため、魅力的に映るでしょう。

従来の日本企業に多い横並び主義の場合、平均的な素養(社内で生き抜く術)を無難に兼ね備えた人材が重宝されてきたが、VUCAの時代に柔軟に対応し、競争に勝つためには圧倒的な知力と体力を兼ね備えた「強烈な」ビジネスリーダーが求められます。

そのすると、後継者候補を社内外に説明する上で、「ジョブ定義」と「スキルコンピテンシーの可視化」が必要になってくるでしょう。それらがないと、その候補者が適格であるか否かについて透明性をもって説明できないことになるからです。

「後継者有効率」と同様に重要な指標として「後継者準備率」があります。これは、プロスポーツでいえば、ベンチにも有力な選手が揃っているかどうかを示す指標です。

この後継者準備率の調査とは、以下のような基準イメージです。

a.すでに準備が整っている
b,潜在的な後継者を特定して1-3年以内に後継候補者の準備ができる
c.潜在的な後継者を特定して4-5年で後継候補者の準備ができる

そうすると、目指すポジションに定義されたスキル要件と現在とのギャップを把握し、そのギャップを埋めるための人材開発を戦略的に実施できるように計画しなければなりません。

そのためには、タレントマネジメントの仕組みだけではなく、人材開発プランの策定・実践を支援する仕組みも活用することが求められます。

上記を実行するために、タレントマネジメントシステムを選定する際には、「充実した後継者計画機能」だけではなく「人材開発プランの策定・実践支援」をしてくれる仕組みも兼ね備えていることが必要です。

現在、そのようなシステムは、タレントマネジメント機能とシームレスに連携可能なラーニング・マネジメント・システム(LMS)ラーニング・エクスペリエンス・プラットフォーム(LXP)と呼ばれる領域でいくつか存在しています。


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